そう思った時。
もう、そこは私のいる場所ではない。
先月、足掛け2年ほどお世話になった着付け教室を辞めた。
そこでは、技術の低下はあっても、向上はない。
そう判断した。
先生の考えや取り組み方が、もう今の私とはかけ離れてしまった。
習いに行ったキッカケは、現場にすぐに連れて行って貰える事が1番大きい。
習いだしてすぐ、半年もしないうちに、成人式の振袖着付けの現場に、素人同然の私を連れて行って下さった。
夏の浴衣着付けの現場にも。
実践をさせて下さる先生だった。
徐々に違うな…。そう思い始めたのは。
毎回、手順の違う着付け。
紐の掛け方、おはしょりの処理、余った布の納め方…。
いろいろなやり方があって、それら全てを教えてくれようとしたのかもしれない。
だが、1つの手順、方法も習得出来ていないうちに他のやり方を習っても、私には出来ない。
そんなモヤモヤが募っていく。
極めつけはやっぱり、裾線を上がらなくする為に足で着物の裾を踏んで押さえる事と。
自分の指を舐めて、着物に触る事。
年配の方が紙を指でめくれなくて、指を舐める行為。
それを着物にする。
その行為が、やはり受け入れ難い。
和裁をされている先生だったので、余計に嫌悪感が強く出てしまった。
正絹に唾液のシミが付いたら…。
そんな風には考えないのだろうか?
そんな思いがどんどん、大きくなって行った。
もっともっと。
うまくなりたい。
成人式に自分の遣り甲斐を満足させる為の着付けはしたくない。
仕事として、完成度の高い仕事をしたい。
私はプロ。
そんな風に堂々と言える着付けをしたい。
その為にもっと上のステージへ。